11月28日は、6年間日本代表の10番として君臨した名波浩の誕生日。
ボランチの位置から長短のパスを繰り出した稀代のゲームメーカーで、Jリーグベストイレブンを4度も受賞。
まさにジュビロ磐田の黄金期を彩った日本人スター選手でした。
左足から繰り出される、まさに糸を引くような長短のパスは、本当に美しく精度が高かった!!
左足へのこだわりが、尋常じゃないくらいにカッコいい選手でした。
引退時のコメントでは、
「“左の名波” “名波の左足” という自分の最も好きなフレーズが、14年間で浸透できたのが自信になる」
と言ったそうです。
そして、先日、名波が監督をつとめるジュビロ磐田が、J1への昇格を決めました。以下はその際の名波の手記です。以外にもアツい人なんですよね。
ジュビロ磐田ファン、サポーターの皆さん。木村社長をはじめ、クラブに携わる全ての皆さん。J1昇格おめでとうございます。
チームを率いて1年2カ月、一定の成果が出たのはうれしく思います。それも全ては選手たちの努力のおかげだと痛感しています。
思えば昨シーズン、自他共に認めるサッカーへの自信は打ち砕かれ、樹海をさまようような後ろ向きな自分が存在していました。ジュビロ磐田に関わる全ての方々に不快な思いをさせてしまい、サッカーの難しさや奥深さに翻弄(ほんろう)され、我々の良さを少しも引き出すことができませんでした。それでも支えてくれるスタッフの力は多大で、OBの存在は頼もしく、ファンの声援に励まされ、もう一度目標に向かってブレることなく突き進もうという前向きな姿勢になれたと感じています。
今シーズン、いろいろな注文を選手たちに課しましたが、特にパワーを使ったワードとして、仲間意識や忠誠心、犠牲心や自制心に大きな変化が見られました。時に我を出したくなるプロアスリートのキャラクターを、どう見え隠れさせるのか、大変頭を悩ませましたが、気付いた時にはこれらの思いがチーム全体に浸透し、1年間通して試合に臨むメンタルの振り幅をコントロールできたと思います。技術、戦術の向上はもちろんですが、あらためて「信じ合う気持ちを胸に闘いに挑む男たちはカッコイイなー(笑い)」と、その成長スピードに感心させられました。苦しく、厳しい時期を乗り越えられた大きな要素だと思っています。
そして忘れてはならないのが家族の存在です。試合に負けた時、内容が悪かった時、ブーイングを浴びた時など、いつ何時も玄関先で笑顔で迎えてくれた、妻と4人の子供たちには感謝してもしきれません。これからも心折れた状態で帰宅した時は、大きな愛で慰めて(笑い)くださいね。
最後に12日前に他界した親父へ。
親孝行は現在も進行中。おふくろと天国でジュビロ磐田の行く末を見守っててください。そして名波色に染まる、自慢の選手たちの背中を押し続けてくださいね。今までありがとう。
(ジュビロ磐田監督 名波 浩)
出典:スポニチ